RD15HVF1プッシュプル HF〜50MHzリニアアンプ かつて東京ハイパワーが販売していたHL-45Bを模したバンドオートセレクト 機能付きの中華小型リニアアンプが売られていますが当局にはオーバーパワー ですので10W出力、1.9MHz〜50MHzの範囲を一台でカバーできることを 目標に実験、製作してみました。 前面パネル。プッシュボタンはマニュアルバンド変更スイッチ。パネルレタ リングのテプラがイケてないので良い方法はないかと思案しています。 背面パネル。RF入出力、電源コネクタ、バンド変更のマニュアル/オート 切替スイッチを配置。ミニDIN8コネクタはFT-818のACCコネクタと 接続することによりリグと連動してバンド変更が可能。 内部。リニアアンプ基板とLPF基板をシャーシを介して2段重ねした構造。 ケースはタカチのMB16-9-25を使用。ヒートシンク、ファンを内蔵した ため結構大きくなりました。 リニアアンプ回路図。当局は手元にあった貴田電子設計のリニアアンプ基板 を流用しましたが、Aliexpressとかで売っているIRF5XXシリーズを使っ たキットの基板を流用したほうが出力トランスの容量を大きくできて良いか もしれません。 eBayで購入したLPFユニット。結構いい値段しますが部品集めて作る手間 を考えれば安いと思います。1.9、3.5、7、10〜14、18〜21、24〜28、 50MHzのバンドを4ビットのTTLレベル信号で制御できます。 バンド切替、PTTはAuduino Pro Miniで制御しています。リグ側バンド 範囲外時にアンプスルーとする機能も実装。スケッチはこちら。 バンド切替、PTT制御基板回路図。スケッチと併せて確認ください。 Auduino
Pro MiniはRAW端子への電源供給では動作が安定しません。 外部で作った5VをVcc端子へ供給するようにしてください。 (当局はなかなか気づくことができずハマりました。) 各バンドでの出力状況。利得はそれなりにありますが、効率は悪いです。 入力を1Wまで上げても大して出力は増えません。低電圧系デバイスの宿命 といったところでしょうか。 ちなみに1.9MHzをはじめとするローバンドでの出力、効率低下は出力トラ ンスの容量不足ではないかと思っています。 試行錯誤した結果、1.9〜50MHzの広帯域で出力を得るためのポイントだと 思ったのは下記4点です。 1.出力トランスのコア 43材のコアは50MHzなどハイバンドで発熱が多くNGでした。 色々と探した結果、TOKINの700Lという材質のコアをRSコンポーネンツ から購入して試してみたところ、ローバンドでの出力低下と発熱が気になる ものの許容できるレベルでしたので使用してみました。 (発熱はコアが小さいことによるトランス容量の問題かもしれません。) 後に知ったのですがこの材質のコアは秋葉原の斉藤電気商会さんでも売られて いるので、恐らくこの手の使い方ができるということだと思っています。 2.出力トランス1次側のC補正 カットアンドトライの結果、当局では150pFとなりました。ネット上での 実験でも180pFとかこの辺りの値が多いようです。この補正により全バンド で出力が上がります。 3.NFB C補正と同様にネット上にあった390オームの値を参考に、手元にあった 330オームを使用しました。これにより全バンドでの利得、出力が上がり ます。NFB無しや220オーム以下も試しましたが、利得、出力共に下がり NGでした。 4.アイドリング電流 RD15HVF1のデータシートを参考に2個で1A(1個500mA)としました。 大喰らいですが、アイドリング電流を流さないと出力が出ないようです。 まとめとして多少のカットアンドトライは必要ですが1.9〜50MHzまで概ね 10W前後の出力をフラットに得ることができました。RD15HVF1は安価で 流用できる基板も多そうなので4アマがQRP機のリニアを製作するのに丁度 良いデバイスだと思います。 |